この Product でできること
レビューできる材料を作る。
AIの利用ケース、情報境界、人による確認、責任、証跡について、決定済み・未整理・未確認を分けます。その結果を優先論点マップと次アクション計画にまとめます。
AI活用を広げる前に、何が決まっていて、何が未整理なのかを確認するためのキットです。
AI利用は始まっているものの、こうした点を組織として共有できていない場合に使います。
一度分の作業を、最後まで
従業員900名規模の製造業で、3つの事業部が約5か月、社内文書の下書きに生成AIを使っている。問題は起きていない。AI推進担当がリスク委員会で説明を求められ、どの利用が「決めたこと」で、どれが「止めなかっただけ」なのかを、いま言えない。
この例は架空です。特定の顧客・案件・組織を記述したものではありません。確認項目、確認観点、成果物名は出荷しているキットからそのまま引いています。回答と所見は、一巡した状態の形を示すために作成した架空のものです。
状況
この組織は困っているわけではありません。判断より先に運用が積み上がり、次に広げる前にどちらがどちらかを言い分ける必要が出てきた、という比較的よくある位置にいます。このキットが想定しているのはこの状態であり、事故対応でも、白紙からの方針策定でもありません。
作業
ワークブックは左3列が埋まった状態で届き、残りは空欄です。読み手は行を下りながら現状を記入します。ここで最も効くのは「不明」と書いてよいという設計で、セルを埋めるために判断を作らず、分かっていないことを分かっていないまま記録できるようになっています。
| 確認項目キットに含まれる | 確認観点キットに含まれる | 現状記入する | 優先度記入する | 次に必要な成果物キットに含まれる |
|---|---|---|---|---|
| 対象外の利用が定義されている | 現時点でAI利用を避ける業務、判断領域、対象外ユースケースが整理されているか | 未着手 | 高 | AI利用方針 |
| 個人情報・顧客識別情報の扱いが明確になっている | 個人情報や顧客を特定できる情報をAIに渡す条件が定義されているか | 一部 — 1事業部のみ規定あり | 高 | 情報・データ境界表 |
| AI利用時の最終判断者が明確である | AI出力をもとに人が判断する場合、誰が最終責任を引き受けるか明確か | 不明 | 高 | レビュー・責任・証跡設計 |
| 低リスク利用と高リスク利用で確認水準が分かれている | 一律確認ではなく、リスクに応じた確認水準になっているか | 未着手 — 一律確認のまま | 中 | 統制・フィードバック運用案 |
57行のうち4行。「現状」「優先度」は空欄で届きます。ここが組織側で埋める部分です。
見えてくること
縦に読み直すと、記入済みの行は「欠けているものの一覧」ではなくなり、同じ一つの問いが4か所に現れているだけだと分かります。上の4行のうち2行は同じ未決の判断に帰着し、3行目はその場の誰にも答えられない真の不明で、それ自体が所見になります。
成果物
1つ目のテンプレートが、記入済みの行を少数の名前のついた論点にまとめます。各論点は「必要な判断」と「その判断が生む成果物」を持ちます。シートの出荷時の形は5論点で、要点は、委員会に持って行ける程度に数が小さいことです。
成果物
優先論点整理
記入済みの行を名前のついた論点に変換し、現状・目標状態・ギャップ・必要な判断・次に必要な成果物を1行に揃える。
優先論点1 — AI利用の範囲が文書として区切られていない 現状: 3事業部が利用中、うち2事業部は判断の記録なし ギャップ: 対象外が未定義。境界が運用としてしか存在しない 必要な判断: 現時点で対象外とする用途と、それを決める人 次に必要な成果物: AI利用方針 優先論点2 — AI利用時の責任者が割り当てられていない 現状: 不明 — その場の誰も担当者を挙げられなかった 必要な判断: 利用区分ごとに、誰が最終責任を引き受けるか 次に必要な成果物: レビュー・責任・証跡設計
できるようになること
2つ目のテンプレートが論点をアクションに変換します。ここで、この一巡はレビューであることをやめ、委員会に示せるものになります。成熟度の評価ではなく、名前のある担当者、期限、そして完了時に存在しているはずの具体的な成果物です。
成果物
次アクション整理
各優先論点を、担当と期限のあるアクションに変換し、それを閉じる確認と、生まれる成果物まで書き切る。
次アクション1 — 対象外リストを起案し、リスク委員会に諮る 担当: AI推進担当 期限: 30日 優先度: 高 必要な確認: 提出前に3事業部それぞれと突き合わせ済みであること 成果物: AI利用方針(案) 次アクション2 — 利用区分ごとに最終判断者を指名する 担当: 利用部門長 期限: 45日 優先度: 高 必要な確認: 指名された本人が書面で引き受けていること 成果物: レビュー・責任・証跡設計(第1節)
57行のうち4行を掲載しています。キットの価値は残る53行と、どの回答からでもこの成果物を作れる2つのテンプレートにあります。ここで見せているのは仕組みであって、中身ではありません。
このキットで整理できること
キットの手順に沿って一つの具体的な状況を整理し、確認、共有、引き継ぎに使える材料を残します。
この Product でできること
AIの利用ケース、情報境界、人による確認、責任、証跡について、決定済み・未整理・未確認を分けます。その結果を優先論点マップと次アクション計画にまとめます。
この Product でできること
AIガバナンス上の未整理な論点を、規程や統制の設計、関係者レビュー、展開判断に使える作業材料へまとめます。
含まれるもの
ガイド、テンプレート、チェックリスト、記入例を、自分たちの作業環境にコピーして使える形で構成しています。
含まれるもの
確認範囲の決め方、チェックリストの使い方、優先論点の選び方、次アクションへの進め方を説明する日英対応のPDFガイドです。
含まれるもの
利用文脈、情報境界、リスク、人とAIの判断分担、確認、責任、証跡、フィードバック、説明、ロードマップを57項目で確認する日英対応のスプレッドシートです。
含まれるもの
チェック結果を、優先論点、目指す状態、ギャップ、必要な判断、成果物、未解決の問いへ変える独立テンプレートです。
含まれるもの
すぐ着手すること、短期・中期で進めること、関係者確認、保留事項、経営説明の観点を整理する独立テンプレートです。
向いている状況と対象外
このProductだけで自社内で進められるか、個別事情に合わせた支援が必要かを確認します。
向いている状況
AI推進責任者やプロジェクト責任者向けです。情シス、セキュリティ、リスク、法務、コンプライアンス、業務部門と準備状況を確認し、規程、統制、関係者レビュー、ツール展開の判断に備えます。
これは含まれません
準備度確認と初期整理を支えるキットであり、正式なガバナンス体制、規程、統制設計、監査、全社実装を代替するものではありません。
背景にある考え方
以下のノートは無料で、それだけで読み切れます。キットが扱う問題そのものを説明したもので、キットはそれを自社の状況に当てて進めるためのものです。
AIガバナンスは、一度ルールを作れば終わりではありません。AI製品、利用実態、関係部門の判断、組織内の制約が変わる中で、判断基準、レビュー観点、責任分界、次工程への引き継ぎ材料を見直し続けるための考え方を整理します。
AIによって多くの成果物を生成しやすくなっています。しかし、生成物だけでは組織能力にはなりません。AI活用を、判断材料、レビュー観点、責任分界、再利用できる知識として組織に残すための考え方をまとめたPractice Noteです。
仕様
この製品が何であり、何を含むかの仕様。
製品仕様
次の進め方
自社の状況について自分たちで答えを出せる場合は、このProductで進められます。部門ごとに回答が分かれる、誰が引き受けるか決まらない論点があるなど、自分たちだけでは決めきれない論点が残った場合は、整理した材料を第三者の確認に持ち込めます(所見と論点をお返しし、合否、評価点、成熟度はつけず、監査保証、認証、適合性評価、法的判断の代わりにもなりません)。責任の所在の曖昧さ、関係者の認識のずれ、ハイリスクな利用、経営判断が課題になった場合は、Services または Contact が次の入口になります。